「申し訳ありません」の使いどころを考える
こんにちは、東谷です。
以前ビジネス用語についての記事を書きましたが、今回は表現方法についてお話ししていきます。
「正しい表現」とは何なのか。どうしてそれを追求する必要があるのか。皆さんもご自分の表現方法について考えながらぜひ最後までお付き合いください。
以前の「正しい日本語は美しい」はこちら
https://www.quroco.co.jp/staffblog/3415/
きっかけは「申し訳ありません」
今回のテーマに決めたのは、こんな話を聞いたことがきっかけでした。
「申し訳ありません」という言い回しがあります。
これは基本的に、悪いことをした時や相手に迷惑を掛けた時に使用されます。要は「謝罪」に使用される言葉です。
ですがこの「申し訳ありません」を上記以外の場面で使う人がいるらしいのです。
例えば、普段の業務中に、話の締めで「申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。」と使う。
特別悪いことをした訳でもないのにこの言い回しは何だか違和感があるな、と感じます。
英語で言えば「Exucuse me」を使う場面で「Sorry」が頻出するような感じですね。
言い換えるなら「恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。」の方がしっくりきます。
ふと、私は普段から多くの表現について疑問を抱いているな、と気付きました。
他にも誤用の例がある
他にも気になった日本語の誤用を挙げてみます。
「存じる」と「ご存じ」はあちらこちらで間違えた使われ方を耳にしました。
例えば「存じております」と言うべきところを「ご存じです」と言ってしまう。
あるいは「ご存じですか?」と聞くところを「存じていますか?」と聞いてしまう、といった具合です。
「自分(主語)が知っています」と伝えたいときは「存じております」。
「あなた(主語)は知っていますか?」と聞きたい時は「ご存じですか?」。
これが正しい使い方です。
「知る」という言葉を丁寧にしたものが「存じる」で、相手に使う時は謙譲語の「ご」が付く、と理解できていれば間違えませんね。
ちなみに「知っているもの」の対象が人であれば「上げる」がつくそうです。
「●●さんを存じ上げております」となりますね。
一方対象が人以外であれば「上げる」はつかないので、「××が中止になることは存じております」という感じ。
また、SNSで同時多発的に広まっていった「把握です」という表現にも疑問があります。
「把握」は「するかしないか」「出来るか出来ないか」であり、「であるかどうか」ではありません。
この場合の「です」には行動を示す意味が含まれていないため、「把握がどうしたのか」が伝えられていないことになります。
細かい!でも大事なところですよね。
伝わればOKな人もいる
こんな風に意味や成り立ちを考えた時「正しくない」と判断される表現について、人はどう思っているのでしょうか?
また、正しくない言葉は絶対に直すべきなのでしょうか?
上記に限らず、様々な場面で「伝わればOK」と思っている人は少なくないと思います。
時間が限られている場面や、友人同士などの親しい間柄での会話で、丁寧な表現が省かれていくのは大いにありえることです。
極論は好みの問題だと思っています。
私は日本語という言語が好きなので出来る限り正しく操りたいと思うタイプですが、もちろんそう思わない人がいるということも理解しています。
「伝わればいい」と思う人にとってはそれが正義ですし、出来る限り「丁寧に喋る」ことを至上とする人もいるでしょう。
ペンが色順に並んでいないと気になる人。気にならない人。
誰かの電話口での大きな声が気になる人。気にならない人。
その言葉が表現として正確か気になる人。気にならない人。
似たような例を並べてみるとこんなところでしょうか。多分これらは全て好みの問題です。
色がバラバラでも困らない人はいますし、大きな声は元気があって良いと思う人もいます。
ですが、省略した言葉や不正確な表現には「意味が正確に伝わらない」というデメリットが付随します。
これはどうにかしたいポイントですよね。
良い折衷案を考えたい
表現に対する各自の好みに、少しだけ客観的な感覚を取り入れることで、うまい折衷案が浮かぶ気がします。
つまり、「これを聞いた人はどう受け取るか」を考えてみることです。
自分の発言が聞いた人にどう受け取られるかを考えてみる想像力は、コミュニケーションにおいて非常に重要だと思います。
丁寧な表現を使う使わないは置いておいて、物事をスムーズに進めるための適切な表現は知っておいても損ではないということですね。
言葉は常に変化していくものです。
ファッションやサブカルチャーのブームと違い、「いつの間にか広まって浸透していく」のが言葉の変化だと思います。
規模を大きくして考えれば、人類は今まさに言語が進化していく過渡期にあり続けています。流動的なものに主流を見出すというのはとても難しいことです。
そんな中で果たして自分が使っている言葉や表現は、流行りに乗っているのか流行りに流されているのか。
もし後者であるなら今一度自分の言葉を見つめ直す機会があってもいいかもしれません。
さいごに
昔大学の就職支援課で「字が上手くなくても、丁寧に書いた履歴書は伝わる」と言われたことを思い出します。
言葉もそれと同じで、難しい言い回しをしなくても丁寧に話すだけで誠意はきちんと伝わるものです。
無知の知、なんて言葉があります。
まずは自分が持っている知識に疑問を持って調べる癖をつけるのが手っ取り早くて良いと思います。
そして冒頭であげた例に関して個人的な意見を述べるとすれば、「謝りすぎ」で上手くいくビジネスは無いんじゃないか、と思います。
ごめんなさいよりありがとうの方が、受け取り手は気持ち良いですしね。
丁寧に選んで使われる正しい言葉は、何よりもその人の誠意を伝えてくれるのかもしれません。
これを読んで少しでも共感いただけましたら、ほんの少しでも言葉や表現に思いを巡らせてみていただけると幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございます。
それではまた~。