スラムダンク奨学金に学ぶ「夢を思い描くこと」
8月末、大熱狂の中上映が終了した『THE FIRST SLAM DUNK』。
折しもその上映期間に発行された一冊の書籍があります。
『スラムダンク奨学生インタビュー その先の世界へ』
今回は、こちらの内容に少しだけ触れつつ「夢を思い描くこと」を改めて考えてみました。
最後までどうぞお付き合いください。
スラムダンク奨学金とは?
「日本のバスケに何か恩返しがしたい」井上雄彦
『スラムダンク奨学生インタビュー その先の世界へ』あとがき より引用
まず「スラムダンク奨学金」の制度について。
日本でバスケットボールに打ち込んだ後、バスケットボールの本場アメリカに挑戦したいという強い意思を持った日本の選手は、しかしながら簡単に夢を叶えることができない現状に行く手を阻まれています。
「スラムダンク奨学金」は、漫画『SLAM DUNK』の作者井上雄彦先生による、「日本の若いバスケットボール選手に新たな選択肢を作ることで、日本のバスケットボールに恩返しができたら」という思いから生まれた制度です。
応募の中から現地でのセレクションも含めて選考し、その後アメリカのプレップスクールに選手を送り出します。
プレップスクールとは?奨学金での留学が終わった後は?などの詳しいことは、ぜひ「スラムダンク奨学金」のサイトを見てみてください!
引用:「スラムダンク奨学金」アメリカ中学についての概略
「スラムダンク奨学金」HP( http://slamdunk-sc.shueisha.co.jp/index.html )より引用
http://slamdunk-sc.shueisha.co.jp/program/flowchart.html
何が書いてあるのか
この本には、奨学金の最終セレクションを生き残りアメリカに渡った選手たちに、当時の自分を振り返りながら行われたインタビューが、執筆当時のほぼ全員分記されています。
心に残った部分を取り上げつつ、私の感想をしたためていきます。
「練習中は自分が一番下手だと思っていい。でも、試合になったらお前がチームで一番うまいんだぞ」
『スラムダンク奨学生インタビュー その先の世界へ』#8 小林良 より引用
味方にパスを出すことも大事だが、自分で攻めなくてはいけない場面もある。特に試合ではもっと思い切ってやれ、というアドバイスだった。
第11期生として渡米した小林さんは、ガードというチーム全体の動きを見なくてはならないポジションでした。
自分は周りより能力的に劣っていると感じていた中で、自分に自信を持つことと自分本位にならないことを両立させる難しさに戸惑っていたそうです。
前述の言葉は、そんな小林さんにコーチが告げたアドバイスでした。
練習で95%入るシュートがあったとして、試合でも同じ確率で決まるかというと、そんなことはありません。
練習では得意なシュートも試合になったら40%くらいに落ちてしまう。練習で出来ていたことが試合になったら出来ない、なんてことはザラにあるのです。
ですが「だから、自分では打たずに他の人にシュートさせよう」とパスを出したらどうでしょう。
これでは、40%が0%になってしまいます。
やったら失敗するかもしれない。でもやらなかったら成功しない。
肝要なのは、この成功が宝くじのような「運」ではなく、努力に裏打ちされた「実力」だということです。
コーチのこの言葉は、バスケットボール以外の場面でも通じることだと思いました。
奨学生たちへのインタビュー記事も面白いのですが、一番最後に掲載されている事務担当者、業務担当者の方へのインタビュー記事がとても興味深いと感じました。
例えば、スラムダンク奨学金の第5期は「該当者なし」という結果に終わっていますが、その際将来を期待されている選手をスカウトするという案が出たそうです。
しかし下記の理由から、方針を変えないことを決断します。
「スカウティングをしてしまうと、高校では終われないと思っている選手たちにチャンスを提供できなくなってしまう。やはりスラムダンク奨学金は、自力でアメリカに挑む道を見つけることが難しい選手たちに広く門戸を開いた方がいい」
『スラムダンク奨学生インタビュー その先の世界へ』#15 小出桃子 より引用
スラムダンク奨学金は、このようにコンセプトを固めることで、サポートが必要な選手へのより大きな手助けになれる機関であり続けているのだと思います。
ハマる、学ぶ、のめり込む
インタビュー内で数名の選手が「英語が身に付く瞬間」について触れていました。
最初はついていくのがギリギリなアメリカの授業でも、ある日突然何を喋っているかが分かる瞬間がある、とのことです。
たくさんの知識を身に着け、現地の音を耳から学ぶうちに、頭の中で情報が整理されていくのでしょうか。
この感覚を経験するために英語に真剣に取り組みたいとさえ思えてきます。
熱意を持って何かに打ち込める人に対して、それ自体を「才能」と呼ぶこともあります。
「やめること」は簡単でも「やめないこと」は非常に難しいのです。
英語を勉強すること、バスケにのめり込むこと。いずれも本人の集中力や継続力が物を言います。
逆に、何かに打ち込むことや学ぶことに年齢の壁はありません。「身に着ける」ということの楽しさを、再度思い出せた気がします。
「夢」と「目標」
夢とはなんでしょう。
個人的には「これを成し得たらどんなに素晴らしいだろう!」と漠然と思い描くもの、というイメージです。
これをもう少し具体的にしていくと、目標という言葉が当てはまります。
こちらは、夢を叶えるために「ここにいこう!」と定める地点、というイメージでしょうか。
「アメリカでバスケがしたい!」という夢。
「アメリカでプレイする機会を得よう!」という目標。
並べると似ていますが、漠然とした想像に輪郭が見えると、そこまでの道のりを描きやすくなる気がします。
目標を定めるのは夢に向かって前進する第一歩です。
奨学金制度は、大きな夢を抱えた子どもたちにとって、目標となる地点を教えてくれる道しるべのような役割を担っているんだと思います。
前述の通り、幼いころ思い描いた将来の夢を叶えるためには、目標を設定する必要があります。
何を持って夢が叶ったとするのか?目指す地点=目標は人それぞれです
そして、夢を叶える過程にある「個人で解決できないこと」を人に頼るというのは決して悪いことではありません。一人で何でもできるのは凄いことですが、必ずしも必要なことではないからです。
余談ですが、それは多分会社も同じ。頼るところは誰かに頼り、その分自分も力を尽くしてこそ、目標に向かって一致団結することができるのかな、と思います。
さいごに
この度、スラムダンク奨学金の第17期奨学生が決まりました。
福岡第一高校の崎濱くんです。おめでとうございます!
彼のアメリカでの頑張りと、そこから先に進む道に注目したいです。
夢を思い描き、そこに向かって自分にできる目一杯の努力をする。その中で自力では一歩及ばないものを、誰かの支えで乗り越える。
スラムダンク奨学生の皆さんのエピソードからは、正に理想の、しかし夢物語ではない現実を見たような気がします。
「夢を描いた人の新たなステップを応援したい!」と改めて思います。
そして自分自身についても、夢を追い求めることはやめないようにしよう、と思いました。
最後までご覧いただきありがとうございます。
それではまた~。