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2019.09.10

【おすすめ小説】読書の秋って言いたいだけ【3選】

こんにちは、クロコの木村です。

9月にはいりコンビニのお菓子コーナーからチョコミントとレモンが撤退し、芋・栗・林檎が颯爽と参入してくる季節がやってまいりました。最高です。何を隠そうわたくし木村は四季のなかで秋がいちばん大好きなので、日々見つける小さな秋に奮い立つ気持ちをなんとか抑えながら毎日仕事に勤しんでおります。

「○○の秋」といえば皆さんなにを思い浮かべますか?
そうですね、満場一致で「紅葉していく街の木々たちに思いを馳せながらアンニュイな表情で楽しむ読書の秋」ですね!というわけで、今回は独断と偏見で選出した秋のリラックスタイムにお勧めの小説3冊をご紹介しようと思います。

◆「薬指の標本」小川洋子

【あらすじ】

人々が思い出の品々を持ち込む「標本室」で働く「わたし」。
ある日、標本技術士に「毎日その靴をはいてほしい。とにかくずっとだ。いいね」と素敵な靴をプレゼントされた。靴はあまりにも足にぴったりで、そして「わたし」は・・・・・・。奇妙な、そしてあまりにもひそやかなふたりの愛。恋愛の痛みを恍惚を透明感漂う文章で描いた珠玉の二篇。

新潮文庫 小川洋子著「薬指の標本」あらすじより引用

唯一無二の世界観をたっぷりと心行くまで味わえるお話

あるはずのない職業、あるはずのない情景、あるはずのない国、あるはずのない人物像、その全てをまるで元々私たち読み手のすぐ近くに存在していたもののように描く特殊な文章が小川洋子さんの作品の魅力です。この薬指の標本でもその小川節が遺憾なく発揮されています。

作中の男女の微妙な距離感や、建物のひんやりとした質感、雨の日の湿度などから受け取るイメージが全て水彩画のような淡い色で脳内再生されます。どこか不穏で美しい、あとなぜか読み終わったあとに少し悲しくなる、独特の世界観に引き込まれていきます。 夜更かししたい気分の日にお勧めの大人ファンタジーです!

◆「水曜日の朝、午前三時」蓮見圭一

【あらすじ】

「もしかしたら有り得たかもしれないもう一つの人生、そのことを考えなかった日は一日もありませんでした」 1970年、大阪万博を舞台に叶わなかった恋とその後の二十数年。恋の痛みと人生の重みを描く、究極のラブストーリー。

河出文庫 蓮見圭一著「水曜日の朝、午前三時」あらすじより引用

一言で “ラブストーリー” とは表現できない恋の始まりから終わりまでのお話

「感情移入」とは違う形で作品にのめりこめるような内容となっています。
物語の主な舞台となる昭和45年の時代背景に、作品のキーワードとなる万博の熱量や、心から惹かれた相手を拒絶してしまうたったひとつの理由には共感することは難しいと思います。

ですが、淡々とした語り口調と丁寧な描写に、生きたことがないはずのその時代の情景が目に浮かんでくるのです。「共感できない」「その時代を知らない」からこそとても興味深く「知りたい」と思いました。ぐいぐい引き込まれるとはこのこと。また、なんでこんなにも文字で女性を魅力的に描けるのだろうと感動します。綺麗な言葉でいっぱいにしたい時にお勧めの一冊です。

◆「アイネクライネナハトムジーク」伊坂幸太郎

【あらすじ】

妻に出て行かれたサラリーマン、声しか知らない相手に恋する美容師、元いじめっ子と再会してしまったOL。人生は、いつも楽しいことばかりじゃない。でも運転免許センターで、リビングで、駐輪場で、奇跡は起こる。情けなくも愛おしい登場人物たちが仕掛ける不器用な駆け引きの数々。明日がきっと楽しくなる、魔法のような連作短編集。

幻冬舎文庫 伊坂幸太郎著「アイネクライネナハトムジーク」あらすじより引用

重なる奇跡の繋がりに一気読み待ったなしのお話

伊坂幸太郎さんにはめずらしいラブストーリーの短編集です。伊坂作品の醍醐味である、伏線回収!各短編にちりばめられた伏線と時系列を頭の中で整理しながら読み進めていくと、しっかり全部が繋がっていてスッキリ気持ちのいいお話しとなっています。登場人物がみなそれぞれ暖かい性格だからでしょうか、こんなにも話が優しく繋がっていくものかと読み終えた後にほわほわした気持ちになりました。

こちらの作品、三浦春馬さん、多部未華子さん主演で映画化され、ただいま全国の劇場にて公開されています。各話で細かい描写が多い短編集となっているのでどういった形で2時間弱の映像にまとめられているのかとても興味深いです。近々観に行こうと思っています。
暖かさに触れたくなった肌寒い日にお勧めの一冊です!

3冊の共通点は…

以上3冊をご紹介しました!
気になる作品はありましたでしょうか?

この3冊に共通する点が「読み手の現状によって作品の印象に変化がある」というものです。私自身どれも大好きな作品なので何度も読み返しているのですが、その時の年齢、心情、天気、気温、時間帯によって作品から受け取るメッセージがまるで違います。

「女心と秋の空」とことわざにも使用されているように秋という季節は日々コロコロと変化していきます。その瞬間瞬間を楽しむひとつの手法として、今回紹介させていただいたような読み手側の想像力にゆだねられた作風の小説を読むというのも良いのではないしょうか?

今回紹介した作品の中から、みなさんの心に残るようなお気に入りを見つけていただけたら幸いです。最後までご拝読いただきありがとうございます!

Have a nice day!